社会人の皆さまはワーホリの準備を進めていくと、「国民健康保険」をどうしたら良いか悩むことがあるのではないでしょうか。
この記事では、ワーホリ中の国民健康保険をどうすべきか徹底的に解説します。
実際に私がどうしているのかについてもご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。
ワーホリに行く場合の保険の選択肢
社会人の皆さまがワーホリに行く場合は下記のいずれかの選択があるということをまずは認識しましょう。
【1年以上海外に行く場合】
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ここからはそれぞれの選択肢について説明します。
【選択肢①】海外転出届を出して国民健康保険に入らないケース
まずは海外転出届を提出して国民健康保険を脱退し、保険料の負担をなくす方法です。
「海外転出届」とは
「海外転出届」とは、日本から1年以上海外に居住する場合に、住民票を海外に移すために市区町村の役所に提出する書類です。
この届出を提出すると、住民税の課税対象から外れたり、国民健康保険や国民年金からの脱退手続きが進められたりします。
住民票を海外に移すことで、日本国内に「住所がない」状態となるため、国民健康保険の加入義務がなくなります。
一方で住民票を抜いてしまうとNISAなどの資産運用が制限されてしまう点には注意が必要です。
メリット:保険料の支払いがなくなる!帰国後の手続きもスムーズに
海外転出届を提出する最大のメリットは、国民健康保険の保険料を支払う必要がなくなることです。
ワーホリ中は収入が不安定になりがちなので、固定費となる保険料がなくなるのは大きな経済的メリットとなります。
デメリット:日本での医療費は全額自己負担。海外での医療もカバー外
海外転出届を提出して国民健康保険を脱退した場合、大きなデメリットは、ワーホリ中に日本に一時帰国して病院にかかった際に、医療費が全額自己負担になることです。
また、当然ながら、ワーホリ先の国での医療費も日本の国民健康保険ではカバーされません。
【選択肢②または③】「海外転出届」を出さず、国民健康保険に加入または社会保険の任意継続をするケース
1年未満の滞在であれば、海外転出届を出す必要はない代わりに、日本の保険に入る義務があります。
日本の「国民健康保険」ってどんな制度?
国民健康保険は、病気や怪我の医療費自己負担を3割に抑える制度です。
日本では国民全員が何らかの公的医療保険への加入を義務付けられているため、会社退職などで社会保険から外れた場合は、国民健康保険への加入が必要です。
国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料は、前年の所得に基づいて計算されます。そのため、所得が多い人ほど保険料も高くなる傾向があります。
また、世帯の人数や年齢構成などによっても保険料は変動します。国民健康保険に加入した場合の保険料をシミュレーションできるサイトもあるため、加入前に大体いくらになるか確認すると良いでしょう。
会社を辞めたら?国民健康保険と社会保険の違い
会社員が退職すると、通常は社会保険から脱退し、国民健康保険への加入が義務付けられます。
ただし、最長2年間、社会保険を「任意継続」すること(=国民健康保険には入らない)も可能です。
任意継続の場合、保険料は全額自己負担ですが、社会保険の給付内容は維持されます。社会保険料はご自身が加入されている保険のウェブサイトなどで確認できます。
国民健康保険と社会保険、どちらがお得かは、個人の状況によります。一般的に、退職前の収入が高い人は社会保険の任意継続、収入が大きく減る人や扶養家族がいない人は国民健康保険がお得になる傾向があります。
ご自身の状況に合わせて、両方の保険料をチェックし、比較検討することをおすすめします。

私の場合は、国民健康保険料のシミュレーションと社会保険の任意継続料を比べた時に、
国民健康保険に加入する方が保険料が安かったので国民健康保険に加入することにしました。
メリット:海外療養費制度が使える可能性!日本の医療も安心
国民健康保険または社会保険に加入し続けると、ワーホリ先で病気や怪我をした際に海外療養費制度を利用できる可能性があります。
これは、海外で支払った医療費の一部が日本の国民健康保険から還付される制度です。また、一時帰国中に日本で医療が必要になった場合も、自己負担3割で安心して受診できます。
デメリット:ワーホリ中も保険料の支払いが必要
保険に加入し続ける場合、ワーホリ中も毎月保険料の支払いが続きます。
これにより、海外での生活費に加えて経済的な負担が増える点がデメリットです。
国民健康保険加入の手続きについて
ここからは、私のケースである、ワーホリに行くため会社を辞め社会保険を脱退し、国民健康保険に加入する場合の手続きについて紹介します。
国民健康保険は、社会保険の資格喪失日から14日以内に役所での手続きが必要です。必要書類が揃ったらできるだけ早く最寄りの役所に行きましょう。

私が住んでいる地方自治体では、喪失日の数日前に区役所に行っても対応していただけました。
実際に役所に行ってみる前に、喪失日よりも前でも対応してもらえるか、電話で聞いてから行きました。
国民健康保険加入手続きに必要なもの
国民健康保険への加入手続きは、主に市区町村の役所の窓口で行います。会社を退職して加入する場合に必要なものは、主に以下の通りです。
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帰国後の手続きについて
帰国後に会社員として就職し、職場の社会保険に加入することになった場合、国民健康保険の脱退手続きが必要になります。
新しい職場の社会保険証が発行されたら、速やかに市区町村の国民健康保険担当窓口へ行き、国民健康保険証と新しい社会保険証(またはその情報)を持参して脱退手続きを行いましょう。
合わせて知っておきたい公的手続き
ワーホリ準備では、国民健康保険以外にも、住民税や国民年金といった公的な手続きについても知っておく必要があります。
住民税について
住民税は、1月1日時点で日本に住民票がある人に課税される税金です。
もしワーホリ出発前に海外転出届を提出し、1月1日時点で日本に住民票がない状態であれば、その年の住民税は課税されません。
しかし、1月1日時点で日本に住民票があった場合や、私のように海外転出届を出さない場合、その年の住民税は課税されてしまいます。
この場合、納税管理人を設定して代わりに納税してもらうか、一括で納付するなどの対応が必要になります。
国民年金について
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する義務のある制度です。
海外転出届を提出して日本に住民票がない状態になると、国民年金の強制加入義務はなくなりますが、提出しない場合は国民年金の支払い義務があり、これも市区町村の役所で手続きが必要になります。
まとめ
この記事では、ワーホリに際した国民健康保険の手続きについて説明しました。
日本の保険に加入する/加入しないどちらの選択肢にもメリットとデメリットがあり、ワーホリの期間や収入、リスクに対する考え方によって最適な方法は異なります。
この記事を参考に、ご自身の状況に合った最適な選択をして、安心してワーホリに臨んでください。
不明な点があれば、お住まいの市区町村の役所や専門機関に相談してみることをお勧めします。
用意した書類に不備があると手続きがスムーズにいかない可能性もあります。とにかく早め早めの行動を意識してみてくださいね。
ワーホリの国民健康保険に関するよくある質問
- Qワーホリ中、国民健康保険を払い続ける最大のメリットは何ですか?
- A
ワーホリ中に国民健康保険を払い続ける最大のメリットは、海外療養費制度が利用できる可能性があることです。
これにより、万が一海外で医療機関にかかった場合でも、日本に帰国後、かかった医療費の一部が還付される可能性があります。また、一時帰国時にも日本の病院で保険診療が適用されるため、安心して医療を受けられます。
- Q海外転出届を出さずにワーホリへ行くと、国民健康保険以外で何か不都合はありますか?
- A
海外転出届を出さずにワーホリへ行くと、国民健康保険以外にも、日本に住民票がある状態が続くため、住民税が課税され続ける可能性があります。
また、住民票があることで、郵便物の受け取りや行政からの連絡など、日本国内の住所が引き続き必要になる場合があります。
- Qワーホリ前に国民健康保険を脱退する手続きは、出発の何日前までに行えばいいですか?
- A
ワーホリ前に国民健康保険を脱退する手続き(海外転出届の提出)は、原則として出国日の14日前から当日までの間に行うことができます。
出発直前は慌ただしくなるため、余裕を持って手続きを済ませておくことをおすすめします。
- Q国民健康保険料はどうやって支払いますか?
- A
国民健康保険料の支払い方法は、お住まいの市区町村によって異なりますが、主に口座振替、納付書払い(金融機関やコンビニエンスストアでの支払い)、そしてキャッシュレス決済(スマートフォンアプリやクレジットカード払い)などがあります。
具体的な支払い方法や利用できる決済サービスは、お住まいの自治体の国民健康保険課に確認することをおすすめします。