ワーホリ中の国民年金はどうなる?支払う必要性や事前手続きについて

ワーホリ国民年金

「ワーホリ中に国民年金ってどうしたらいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ワーホリ中の国民年金について、支払い義務の有無から、免除や任意加入の手続き、さらには健康保険や住民税といった関連する手続きまでご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。

ワーホリに行く場合の国民年金の4つの選択肢

ワーキングホリデーで海外へ行く際、国民年金をどうするかは滞在期間によって大きく変わってきます。状況に合わせて最適な選択をしましょう。

【1年以上海外に行く場合】
①「海外転出届」を出し、国民年金を支払わない
②「海外転出届」を出し、国民年金の任意加入をする

【1年未満の場合】
③「海外転出届」を出さず、国民年金を支払う
④「海外転出届」を出さず、国民年金の納付猶予や免除申請をする

私は③を選びました。
もともと会社員だったので、厚生年金から国民年金に加入する手続きを行いました

そもそも「海外転出届」って何?ワーホリ前に知っておくべきこと

「海外転出届」とは、1年以上海外に滞在する場合に、日本の住民票を抜くための手続きです。この届出を行うことで、原則として日本国内での住民としての義務が一時的に停止されます。
具体的には、住民税や国民健康保険、そして国民年金といった支払い義務が一時的に免除されることがあります。

【選択肢①】「海外転出届」を出し、国民年金を支払わない

ワーキングホリデーの期間が1年以上になる場合、海外転出届を提出して住民票を抜くことで、国民年金の支払い義務をなくすことができます。

メリット:経済的負担をゼロにできる

国民年金の保険料は毎月約1万7千円(2025年度)かかりますが、海外転出届を提出して住民票を抜けば、この支払い義務がなくなります。

ワーホリ中は収入が不安定になることも多いため、固定費が削減できるのは大きなメリットです。現地での生活費や活動費に充てられるため、金銭的な不安を軽減し、よりワーホリを満喫できるでしょう。

デメリット:将来の年金受給額が減る点と、未加入期間の注意点

国民年金は、加入期間に応じて将来の年金受給額が決まります。そのため、海外転出届を提出して年金を支払わない期間は、将来受け取れる年金額が減少するというデメリットがあります。

例えば、1年間支払いを停止すれば、その分の年金受給額が減る計算になります。また、年金受給資格期間(原則10年以上)にこの未加入期間は算入されません。
つまり、将来年金を受け取るための期間が不足する可能性も出てくるということです。帰国後に追納することも可能ですが、追納には期限があるため注意が必要です。

【選択肢②】「海外転出届」を出し、国民年金の任意加入をする

国民年金の任意加入制度は、ワーキングホリデーの期間が1年以上で、海外転出届を提出して住民票を抜いても、日本の年金に加入し続けることができる制度です。

海外転出届を提出し住民票を抜くと、原則として国民年金の被保険者資格を喪失しますが、任意加入の申請をすることで、引き続き国民年金保険料を納めることができます。
これにより、将来の年金受給額を減らすことなく、ワーホリ期間を年金加入期間としてカウントすることが可能です。国民年金の任意加入手続きは、海外転出届の提出と合わせて行うことが一般的です。

任意加入の条件と支払い方法

国民年金の任意加入には、以下の条件があります。

  • 日本国籍を持つ方であること
  • 日本国内に住所を有しないこと
  • 20歳以上65歳未満であること
  • 厚生年金や共済年金に加入していないこと

保険料の支払い方法については、原則として日本の金融機関の口座からの口座振替となります。そのため、海外滞在中に口座振替ができるよう、事前に日本の銀行口座の残高や設定を確認しておくことが重要です。

メリット:将来の年金受給額を確保できる安心感

任意加入の最大のメリットは、ワーホリ期間中も年金加入期間として扱われるため、将来受け取れる年金額が減らないという点です。
特に、老後の生活設計を重視する方にとっては、この安心感は非常に大きいでしょう。

デメリット:保険料の支払い負担と、為替レートによる影響

任意加入を選択した場合、ワーホリ中も毎月国民年金保険料を支払う必要があります。ワーホリ中は現地での収入が不安定になることもあり、この保険料の支払いが経済的な負担となる可能性があります。

また、海外からの送金やクレジットカード払いを利用する場合、為替レートの変動によって、日本円に換算した際の支払い額が変わることもあります。これらのリスクを理解した上で、任意加入を選択しましょう。

【選択肢③】「海外転出届」を出さず、国民年金を支払う

ワーキングホリデーの期間が1年未満の場合は、海外転出届を提出せず、日本に住民票を残したまま国民年金を支払い続けるのが一般的な選択肢です。

これは、手続きの手間を省き、国民年金制度を継続したいと考える方にとって適しています。
この場合、ワーホリ中も日本の住民として扱われるため、国民年金だけでなく、国民健康保険や住民税についても考慮する必要があります。

ワーホリ前に会社を辞める場合の厚生年金から国民年金への切り替え手続き

ワーホリ前に会社を退職し、厚生年金に加入していた方は、国民年金への切り替え手続きが必要になります。
厚生年金の資格を喪失した日(退職日の翌日)から、国民年金の第1号被保険者となります。

この切り替え手続きは、原則として退職後14日以内に住所地の市区町村役場で行う必要があります
手続きが遅れると、未加入期間が生じてしまい、将来の年金受給に影響が出る可能性があるので注意しましょう。

私が住んでいる地方自治体では、退職日の数日前に区役所に行っても対応していただけました
実際に役所に行ってみる前に、退職日よりも前でも対応してもらえるか、電話で聞いてから行きました。

国民年金への切り替えに必要な書類と手続きの流れ

厚生年金から国民年金への切り替え手続きには、いくつかの書類が必要です。

  • 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
  • 離職票などの被用者年金制度(厚生年金保険等)の資格喪失日が証明できるもの
  • 本人確認書類

これらの書類を準備し、市区町村役場の国民年金担当窓口で申請書を記入・提出します。

>>国民年金の加入についてはこちら

帰国後再度就職して厚生年金に加入した場合

就職して厚生年金に加入した場合は、年金の切り替え手続きは不要です。ワーホリ出発前の国民年金加入手続きさえしてしまえばいいというわけです。

メリット:将来の年金受給額に影響なし

住民票を日本に残し、通常通り保険料を支払い続ければ、ワーホリ中の期間も年金加入期間としてカウントされます。そのため、将来の年金受給額が減る心配がありません。

デメリット:ワーホリ中の支払いが発生すること

当然ながら、国民年金を継続して支払うため、ワーホリ中も毎月保険料の支払いが発生します。現地での収入が不安定な場合や、資金を切り詰めて生活したいと考えている方にとっては、この固定費が負担になる可能性があります。

【選択肢④】「海外転出届」を出さず、国民年金の納付猶予や免除申請をする

ワーキングホリデーの期間が1年未満で、住民票を日本に残したまま国民年金の支払いが困難な場合は、納付猶予や免除申請を検討することができます

納付猶予と免除申請の条件と違い

国民年金には、経済的な理由で保険料の納付が困難な場合に利用できる「納付猶予制度」「免除制度」があります。

納付猶予制度 保険料の支払いを一時的に猶予するもので、猶予された期間は年金受給資格期間には算入されますが、将来の年金受給額には反映されません。
免除制度 収入に応じて保険料の一部または全額が免除されるもので、免除された期間も一定の割合で年金受給資格期間に算入され、将来の年金受給額にも反映されます。

どちらの制度も、本人、配偶者、世帯主の前年所得に応じて審査が行われます。自身の収入状況に合わせて、より適した制度を選択しましょう。

メリット:一時的に支払い負担を軽減できる

納付猶予や免除申請の最大のメリットは、ワーホリ中の経済的な負担を一時的に軽減できる点です。現地での収入が不安定な時期や、語学学校の学費などで出費がかさむ時期には、毎月の年金保険料の支払いが大きな負担となることがあります。これらの制度を利用することで、無理なくワーホリ生活を送ることが可能になります。

デメリット:将来の年金受給額への影響と、申請手続きの必要性

納付猶予や免除制度を利用した場合、将来の年金受給額に影響が出る可能性があります。納付猶予期間は年金受給資格期間には算入されますが、将来の年金額には反映されないため、その分年金額が減少します。
免除期間も一部は反映されますが、全額納付した場合と比べると年金額は少なくなります。

また、これらの制度を利用するには、市区町村の役場や年金事務所での申請手続きが必要です。手続きには所得状況を証明する書類などが必要となるため、事前の準備が必要となります。

年金だけじゃない、ワーホリ前に忘れずに行いたい健康保険・住民税の手続き

ワーキングホリデーは、国民年金以外にも健康保険や住民税など、さまざまな公的な手続きが関係してきます。

国民健康保険について

ワーホリ中の国民健康保険の取り扱いは、海外転出届を提出するかどうかで大きく変わります。

【海外転出届を出す(1年以上滞在)場合】
住民票を抜くため、国民健康保険の資格を失います。出国前に脱退手続きを行い、保険証を返却してください。

【海外転出届を出さない(1年未満滞在)場合】
住民票は日本に残り、国民健康保険料も継続して支払います
以前、会社で社会保険に加入していた場合は、退職後20日以内に手続きすれば、社会保険の任意継続も選択できます。

>>【関連記事】ワーホリ中の国民健康保険についてはこちら

どちらのケースでも、万が一に備え、海外旅行保険への加入を強くおすすめします

住民税について

住民税は、翌年に前年の所得に対して課税されるため、ワーホリに出発する前の年の所得に基づいて計算されます

ワーホリ中に支払い通知が届くこともありますので、家族に代理で受け取ってもらうか、納税管理人の選任を検討しましょう。納税管理人を選任しておけば、税金の通知書の受領や納税を代理で行ってもらえます。
事前に市区町村役場で手続きが必要です。

>>【関連記事】ワーホリ中の住民税についてはこちら

まとめ

ワーホリ中の国民年金は、滞在期間や個人の状況によって最適な選択肢が異なります。

どの選択肢を選ぶにしても、事前にしっかりと情報を収集し、役所での手続きを済ませることが重要です。国民年金だけでなく、健康保険や住民税といった関連する手続きも忘れずに行いましょう。

社会人の方のワーホリは手続きが多くて大変ですが、余裕を持って手続きを済ませるようにしましょう。

ワーホリ中の国民年金に関するよくある質問

Q
国民年金はどうやって支払えますか?
A

国民年金保険料は、口座振替、クレジットカード払い、納付書での支払いなど、複数の方法で納付できます。
任意加入の場合は口座振替が原則となることが多いです。海外滞在中に支払う場合は、事前に日本国内の金融機関口座から引き落としができるよう設定しておくようにしましょう。

Q
国民年金の免除申請をすると、将来受け取れる年金額はどれくらい減りますか?
A

免除期間は、全額を納めた場合と比べて将来の年金受給額が減少します。
例えば、全額免除の場合、受給資格期間には算入されますが、将来の年金額には1/2しか反映されません。具体的な減額割合は免除の種類によって異なります。

Q
ワーホリ中に国民年金を未納にした場合、帰国後に追納はできますか?
A

はい、国民年金の保険料を未納にした場合、原則として過去10年分までさかのぼって追納(後から支払うこと)が可能です。
ただし、追納には期限があり、経過期間によっては加算額が発生する場合があるので注意が必要です。

Q
国民年金の手続きをしないままワーホリに行くと、どんなデメリットがありますか?
A

手続きをせずにワーホリに行き、国民年金保険料を未納のままにしておくと、将来受け取れる年金額が減ったり、年金受給資格期間が不足して年金を受け取れなくなる可能性があります。
また、万が一の障害や死亡時の年金給付が受けられないリスクもあります。

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